手指衛生の遵守度合いの指標としての検査

MRSAや緑膿菌などの院内感染の原因菌は"接触感染の感染経路"をとり、医療従事者の手指による伝播が最も危惧されています。
接触感染を防止する上で手指の衛生(手洗い)は、“効果的かつ最も重要な対策である”という認識はご存知のことと思われますが、各スタッフ様の個人レベルの技量に頼ることから、周知徹底が困難な事項でもあります。
弊社では各スタッフ様の手指衛生の遵守指標として、定期的に実施できる検査として下記のような検査をお勧めしています。

1. 手指のMRSA数

項目名: MRSA
基準値: 陰性
採取法: 手形培地に手を圧着させて採取するか、拭取りキットで拭って採取してください。
意義: 手洗い後に実施してもほとんど検出されませんので、手洗い前が有効です。
処置後など汚染されることがありますが、基本的にはグローブ着用をされていると考えられますので、手指衛生や標準予防策の遵守指標として判断できるかと思います。
弊社が行った事例では、約3~5%の検出率があります。

2. 白衣のポケット(内側)のMRSA検査

項目名: MRSA 容器
基準値: 陰性
採取法: 白衣ポケットの内側(掌側が触れる箇所)をMRSA用スタンプ培地で採取してください。
意義: 1処置1手洗いは、感染対策の基本ではありますが、手指衛生が正しく遵守されていないと、知らない間に白衣のポケットが汚染されています。
手指のMRSA数より、比較的、検出頻度が高いことから(約10~20%)、手指衛生や標準予防策の遵守指標として有効であると判断しています。

3. MRSA環境検査

【採取箇所の例】

病棟ナースセンター シンクカラン 回診車トッテ スタッフ白衣(ポケット付近)
病棟ナースセンター デスク 回診車の軟膏類蓋 病室 ドアノブ内側
病棟ナースセンター 受話器 回診車上 病室 ベッド手すり
病棟ナースセンター ドアノブ内側 カスト上 病室 点滴台
病棟ナースセンター 電気スイッチ カルテ 病室 床頭台
病棟ナースセンター キーボード 聴診器 病室 消毒液コック
病棟ナースセンター マウス 痰吸引の圧調節ノブ 滅菌物の包装外側
消毒用綿花入れ蓋 スタッフ手指 手洗い前 点滴準備台

* MRSAについては接触感染の経路をとるため、手指の触れる場所がその対象となります。また、MRSA患者様の付近より、本来清潔である箇所、回診車などの処置時に触れる可能性のある箇所を対象とすることをお勧め致します。

【結果の解釈】

検出個数に関係なく、原則としてMRSAが検出されないこと。

* MRSAが手指の触れる場所から検出された場合、汚染された手指を介しての汚染が推定され、汚染物の管理、手洗いの不徹底を疑います。従って、床や落下細菌などの検査はあまり意義がないといえます。

* 汚染されやすい場所に比較して、本来清潔である箇所(回診車など)からの検出は危険度が大きいと解釈します。