検査事例のご紹介

微生物が原因による異味・異臭・膨張など、原因を究明したい場合には、「クレーム品検査セット」をご提案しています。お客様のご要望に合わせて、写真や参考情報を検査結果に盛り込み、ご理解頂きやすい報告書をご提出します。

商品の異味、異臭、包装の膨張等によるクレーム品の検査

クレーム品検査セットとは?

クレーム商品の異味・異臭・膨張の原因究明にご利用頂けます!

(原因物質が目に見えない存在で、菌が原因であると考えられる場合に有効です。)

クレーム品と正常品の検査結果の違いにより、結果を判断します。

項目名 検査内容 ご報告方法
食品クレーム品
検査セット
(参考情報あり)
一般生菌数
酵母数
乳酸菌数
微生物鏡検検査
pH
翌日までに鏡検検査・pHの結果速報をFAXします。※1
微生物検査の結果が出次第、検体写真・参考情報
(結果コメント)付き報告書をFAX後、原本を送付します

※1)「食品クレーム品検査セット(参考情報あり)」をご依頼頂きますと、翌日までに鏡検検査・pHの結果速報をFAXしますので、お急ぎのクレーム対応にて適しています。参考情報なしのセットをご依頼頂いた場合、速報はありませんのでご了承下さい。

事例)ソーセージの包装膨張

クレームの状況

ソーセージが未開封の状態で、包装袋が膨張してパンパンに膨れており、特に発酵臭はありませんでしたが、包装袋の内部にはネトのような白色の付着物が多数認められました。

ソーセージの製造から販売までの背景

ソーセージ製造後、加熱殺菌を行った後に包装を行い、その後、冷蔵で流通されていました。

クレーム品検査セットによる検査結果

クレーム品と正常品の微生物検査を実施しました。

  クレーム品 正常品
目視での確認 未開封の状態で包装袋が膨張していた、特に発酵臭はなし、包装袋の内部にはネトのような白色の付着物を多数確認 膨張・異臭なし白色付着物もなし
顕微鏡観察 グラム染色を行い、光学顕微鏡で観察したところ、多数の酵母様真菌が確認された 菌は確認されず
微生物検査 一般生菌数・酵母数・乳酸菌数は検出されず 菌は検出されず

検査結果による考察

膨張と白色付着物の原因は、光学顕微鏡での観察から酵母が原因であると推察されましたが、培養を施しても酵母は発育しなかったため、原因酵母は培地では発育できないか、または、死滅している可能性が考えられました。

正常品もお預かりしていましたので、直接、白い付着物を正常品のソーセージに付着させて、検体培養も実施しました。

これは、培地では発育しないが食品であれば発育する菌がいるためですが、今回の例では食品でも発育は見られませんでした。

遺伝子による同定検査を追加実施

今回はクレーム品検査セットにより酵母であると推察しましたが、さらに情報を得るため、遺伝子検査による同定検査を行いました。

その結果、マラキア(Mrakia)属の可能性が高いと判断されましたが、この酵母は低温で発育する特徴があります。

そこで再度、低温にて培養を行ったところ、酵母の発育を確認することができました。

通常、酵母の培養では、生化学的性状試験に基づき、25℃又は30℃で酵母菌全般を培養しています。

今回は、遺伝子検査の結果を踏まえて、再度、4℃・10℃・15℃で約1週間培養したところ、4℃・10℃培養を行ったポテトデキストロース寒天培地に発育が見られました。

発育は10℃培養が最も良好で、15℃では発育しませんでした。
発育した菌について、生化学同定(同定キットを使用)を行いましたが、同定はできませんでした。
しかしながら、死滅して未発育だったわけではなく、低温(冷蔵、特に4℃~ 10℃)で保管していると増殖する酵母である可能性が高いと考えられました。

また、魚肉ソーセージ類では、殺菌が不十分だと酵母が育成してスライム生成原因菌となる(亜硝酸を資化できるD.hanseniiが多いのが特徴、Candida、Torulopsis属も原因菌となる)という変敗資料があります。

(食品変敗防止ハンドブック 食品腐敗変敗防止研究会編より)