栄養表示における成分分析について

1.栄養表示について(概要)

容器包装に入れられた全ての一般用加工食品及び一般用の添加物に、栄養成分や熱量に関する表示をしようとする場合、食品表示基準に従い下記のような表示をする必要があります。

    1. 販売する食品に何らかの栄養成分を表示しようとする場合、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量、エネルギー(熱量)、表示しようとする成分の含有量の表示が必要です。
    2. 栄養成分が「多い」、「少ない」等の強調表示を行う場合、1.の栄養成分表示のほか、基準が定められており、その基準を満たさない場合は、強調表示が行えません。
    3. 栄養機能食品や特定保健用食品、機能性表示食品として表示を行う場合、1.の栄養成分表示のほか、それぞれに定められている基準を満たす必要があります。

この他にも

  • ・表示の順序(熱量→タンパク質→脂質→炭水化物→食塩相当量→「表示しようとする栄養成分」の順)
  • ・表示単位、分析方法、誤差範囲、等の必要事項が決められています。

2.タンパク質、脂質、灰分、水分、炭水化物(糖質+食物繊維)の概念図

分析を行って熱量を求める場合、タンパク質、脂質、灰分、水分、食物繊維は分析によって数値を求めますが、炭水化物と糖質は計算によって数値を求めます。

タンパク質、脂質、灰分、水分、炭水化物(糖質+食物繊維)の関係を下記概念図に示します。

灰分や水分は表示に使用されませんが、炭水化物や糖質の数値を求めるためには、灰分と水分の測定を行う必要があります。

成分を表す表

炭水化物 = 100 -(タンパク質 + 脂質 + 灰分 + 水分)

糖質 = 100 -(タンパク質 + 脂質 + 灰分 + 水分 + 食物繊維)

3.分析法の一例

項目 分析法の一例*1 説明*2
タンパク質 窒素定量換算法 全窒素を定量し、それに一定の係数を乗じてタンパク質量とする。茶類、コーヒー、ココア等カフェインやテオブロミンを比較的多く含むものの場合には、これらを別に定量して補正することが多い。
脂質 エーテル抽出法、酸分解法、等 ジエチルエーテル、石油エーテルなどの溶剤に可溶な成分の総量を脂質とする。
食物繊維 酵素-重量法、HPLC法 酵素による一連の処理によって分解されない多糖類 及びリグニンを食物繊維とする。
また、原材料として使用している水溶性食物繊維の中には、酵素-重量法では定量できないものもあり、その場合は、「酵素-HPLC法」で行う。
灰分 直接灰化法、等 ある温度で灰化して有機物及び水分を除いた残留物の量
水分 カールフィッシャー法、加熱乾燥法 等 水分以外の揮発成分(アルコール類、酢酸などの揮発酸)が含まれる場合には、これらも水分として測り込まれるので、これらのものを別途に測定し、差し引くことが多い。
炭水化物 計算 炭水化物は、該当食品の重量から、タンパク質、脂質、灰分及び水分量を除いて算出する。
糖質 糖質は、該当食品の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分量を除いて算出する。
タンニン、カフェイン、テオブロミン等はエネルギーとして利用されないため、抹茶やココア等の熱量を算出するには、これらの成分を別途に測定し、炭水化物(糖質)から差し引くこともある。
  • *1検査方法にご指定がある場合は依頼時にご連絡お願します。尚、ご依頼頂く検査方法によって、試験費用が異なることがご ざいます。
  • *2弊社で検査受託の際、通常の検査ではアルコールや有機酸などエネルギー考慮しておりません。考慮を希望される場合は、  別途検査が必要となりますので、依頼時にご連絡お願いします。
  • 分析方法につきましては、下記からも詳細をご確認可能です。
  • 【食品表示基準に係る通知・Q&Aについて】
    ・食品表示法等(消費者庁)

4.エネルギー(熱量)の計算方法について

説明

栄養表示におけるエネルギー(熱量)は、修正アトウォーター法により算出し、定量した

タンパク質、脂質、および炭水化物(計算値)の値にそれぞれ次の係数を乗じたものの総和を求める。

・タンパク質 :4 kcal/g
・脂質 :9 kcal/g
・炭水化物 :4 kcal/g

糖質と食物繊維の含有量を記載する場合、エネルギーの算出には、糖質と食物繊維の総和を用いて計算する。

この場合の糖質および食物繊維の係数は下記の通り。

・糖質 :4 kcal/g
・食物繊維 :2 kcal/g

エネルギー換算について、下記の成分を含む場合の換算係数は下記の通り。

・アルコール類 :7 kcal/g
・有機酸 :3 kcal/g
・難消化性糖質 :種類によって0~3 kcal/g
・食物繊維 :種類によって0~2 kcal/g
・きくいも、こんにゃく、藻類及びきのこ類 :修正アトウォーター法によって求めた熱量に0.5を乗じて算出
算出方法(一例)*4

①一般の加工食品のエネルギー(kcal/100g)の求め方

・エネルギー=タンパク質×4+脂質×9+炭水化物*5×4

*5)炭水化物=100-(水分+タンパク質+脂質+灰分)

・エネルギー=タンパク質×4+脂質×9+糖質×4+食物繊維*6×2

*6)糖質=100-(水分+タンパク質+脂質+灰分+食物繊維)

②アルコール類を含む加工食品のエネルギー(kcal/100g)の求め方

・エネルギー=タンパク質×4+脂質×9+炭水化物*7×4+エタノール×7

*7)炭水化物=100-(水分*8+タンパク質+脂質+灰分+エタノール)

*8)アルコールを考慮する場合は、水分からエタノールを差し引いて算出。

・エネルギー=タンパク質×4+脂質×9+糖質×4+食物繊維*9×2+エタノール×7

*9)糖質=100-(水分*8+タンパク質+脂質+灰分+食物繊維+エタノール)

*4 弊社で検査を受託する際、通常、アルコールや有機酸などによるエネルギー考慮しておりません。

   考慮を希望される場合は別途検査が必要となりますので、ご依頼時にご連絡お願い致します。

 

5.栄養成分分析検査を依頼される際のご確認フロー

栄養成分を調べたい。
   
商品に栄養成分に関する表示をしたい。 食材(加工品以外。じゃがいも等)を「日本食品標準成分表」と比較したい。
   
「食品表示基準」による検査 「日本食品標準成分表」対応の検査
   
少なくとも、タンパク質、脂質、炭水化物、ナトリウムの含有量、エネルギー(熱量)の表示が必要になるため、下記検査が必要になります。 「日本食品標準成分表」対応の検査が必要な場合は、依頼書にその旨をご記入下さい。(弊社では、特にご指示がない場合は、「食品表示基準」での検査を行います。)
・栄養成分分析セット(エネルギー、水分、タンパク質、脂質、炭水化物、灰分)・ナトリウム(食塩相当量)  
   
商品が液体で、結果表記を100g単位でなく100ml単位で表示したい。

比重検査が必要です。

   
商品が菓子や飲料で、アルコールを含むので考慮したい。

エタノール検査が必要です。

   
商品(ドレッシング等)が有機酸(酢酸やクエン酸等)を多く含むので考慮したい。

酢酸等、検査が必要です。

   
商品が茶やコーヒーなので、カフェインやタンニンを考慮したい。

カフェインやタンニン検査が必要です。

   
商品がココアやチョコレートなので、カフェインやテオブロミンを考慮したい。

カフェインやテオブロミン検査が必要です。

   
原材料に低カロリーの糖類を添加しているので考慮したい。

低カロリーの糖類検査が必要です。

検査依頼書に下記のご記入をお願いします。

・原材料 検査方法が変わる場合があります。
・検査部位 固体部分、液体部分、全体混合、魚等の皮や骨を含めるか、付属品(タレ等)を含めるか茶等は煮出す必要があるか、等。ご指定内容により、別途料金が必要になる場合があります。
・エタノールや糖類等の考慮の有無 別途検査が必要。弊社ではご指示がない場合は考慮致しません。

 

6.タンパク質の検査方法

栄養成分分析におけるタンパク質の含有量は、食品に含まれるタンパク質の構成要素である窒素の含有量を求め、その値に係数をかけることで算出されます。

※1)食材により係数は変わります。

タンパク質(全窒素)測定法として広く使われているケルダール法は、食品分野において、食品衛生検査指針や日本食品標準成分表におけるタンパク質の分析法、日本農林規格(JAS) で採用されています。 
また、燃焼法は、日本において、一部食品でのJAS規格、五訂日本食品標準成分表分析マニュアルの追加分析法、飼料分析基準の粗たんぱく質分析法の一つとして採用されてきました。

7.ケルダール法と燃焼法の違い

  試料に硫酸を加えて加熱処理し、発生したアンモニア (NH3) から窒素含有量を測定します。

  試料を燃焼させ生じたガスを還元し、得られた窒素ガス (N2) から窒素含有量を測定します。